観劇批評
◆ 新国立オペラ『アイーダ』GPを観て ◆
  2008/3/10(月)
3/8新国立劇場劇場、ヴェルディ『アイーダ』演出ゼッフィレッリ。新国立らしく、又、派手好みの演出家ゼッフィレッリらしく、大掛かりなセットで各幕毎にカーテンが開くと、会場から一瞬のどよめきが起こりました。判っていてもドヨメクということは、観客自身がそれを望んでいるからだと思います。期待感にそぐわなければ、会場から起こるザワメキはすぐにわかります。その意味から今公演のセットは演出として成功したのではないかとおもいます。
 セットとしては、バトンに紗幕(ゴブラン織り普通目)がフィックスとなっており、セットを写実的に見せる工夫(イタリアではよく使われる)がありました。しかし紗幕で舞台前が切られているため、舞台に大人数がひしめく演目であるため窮屈感があり、踊りも紗幕の居処を気にして踊っているためラインが厳しかったきらいがありました。
 一幕一場はオケ指揮者とアイーダの呼吸がどうもかみ合わず(聞くところによると初めて通しとなったそうですが)インパクトの薄い場になっていました。
2場はセットが大きすぎセットに目がいってしまい、歌の印象は薄くなってしまい、演出の難しさを感じさせる場となりました。二幕2場はセットを斜めに置くことによって奥行き感を出していてさすがゼッフィレッリの演出とうならせるものがありました。又、人、人、人と国立劇場ならではの出演者の多さ(溢れ落ちるほどの制作費があるんだ…)は、観ている人の醍醐味になったと思います。もちろん馬も登場しました。野外であれば像も出演となります。
 歌い手としてはアイーダの父、エチオピアの王アモナズロ(バリトン)の堀内康雄氏の頑張りが日本人としては一番光っていました。
 3幕(ナイル川の岸辺)は、アイーダ(ソプラノ)、ラダメス(テノール)、アモナズロ(バリトン)、がさすがの歌を聞かせてくれました。私と同伴したの弊社の岡も始めて納得していました。 そして大いに期待された4幕はアムネリス(メゾソプラノ)の見せ場、聞かせ処でありますが、どうも舞台と歌のバランスが悪く、歌がセットに負けてしまう感があり、アムネリスの心的描写、恋をとるか王女として生きるか、の葛藤が今ひとつ表現しきれていないのが残念でした。
 最後に国立劇場の機構を最大に利用しての演出、舞台全体が迫り上がり、墓場が下から現れるという見せ方、聞かせ方は圧巻でした。
以上、演出という仕事がどこに気を付け、どこに気を配らなければいけないか、大変勉強になった公演でした。











◆ 新国立日本語オペラ『黒船 夜明け』を観て ◆
  2008/2/22(金)
 2/21新国立劇場制作のopera黒船を見て、山田耕作の作曲、訳詩『黒船 夜明け』は、 下田に来航した黒船、異国の船の来航に動揺する人々、鎖国か開国かの幕末動乱の中で、領事ハリスとお吉を題材に書かれたオペラ。序幕(下田の盆踊り)、 が上演されるのは珍しく、今回の楽しみの一つだったのですが、序曲の演奏でオペラカーテンが飛ぶと、黒紗幕越しに、下田の盆踊りのシーンが展開され るという演出になっていました。美術は読売芸術賞をとっている松井るみ氏、照明は沢田祐二氏。提灯が象徴的に舞台一面に吊られている、山車が舞台下手 側にあり太鼓、あたり鉦、宮太鼓が盆踊りをより楽しく際立たせていた。
 序幕から一幕の転換はスライド舞台を使って大きな丸物の松の木が日本の象徴としてセンターに出てくる。各幕ごとの転換も新国立の舞台機構を使 いきってスピーディーに行われていた。ソプラノのお吉を演じた腰越満美も歌だけではなく着物を着た立ち姿が綺麗だった。
 ソプラノのお吉を演じた腰越満美も歌だけではなく着物を着た立ち姿が綺麗だった。テノールの吉田役の樋口達哉氏もさすがというボイステクニックで魅了していた。日米通商条約の締結という衝撃的なシーンはアメリカ国旗が舞台センターにたなびき、他のセットが大迫でしずんでいくという、判り易い演出が印象的だった。
 3時間30分という公演はオペラとしては長いほうではないのに、今回見させていただいて長く感じられたのは、日本語とオペラの作り方、特にアリアの曲に若干の違和感があったからではないかと思う。なにはともあれ、美術と照明は作品をひときわ際立たせていると思う、何よりも沢田祐二氏の照明は影の使い方が今回素晴らしかった。又、舞台機構を知り尽くし、使いこなしているのが感じられたステージでした。
 制作予算がある程度豊富にあるのはいいな(個人的な感想)、今回見ての感想です。










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